絵本しかない本棚

こどもから大人までつい手にとってしまいたくなるような絵本の魅力をお伝えします。

記事内に商品プロモーションを含む場合があります。

1歳児の言葉を引き出す!発語を促す絵本と親子で楽しむ読み聞かせのコツ


「周りの子はもう“ママ”“ワンワン”って話してるのに、うちの子はまだ…」 そんなふうに感じることはありませんか?
1歳頃は、発語(最初の言葉)が出始めるかどうかの時期ですが、実際には個人差がとても大きく、すぐに心配する必要はありません。
 ただ、周りと比べて不安になるタイミングがあるのも親心です。

“話す準備”は、静かに進んでいる

子どもは話し出す前から、周囲の言葉をしっかり聞いて、たくさん吸収しています。
言葉のリズム、抑揚、意味のある音、表情とセットになった言葉…そうしたものを日々ストックして、「いまじゃないけど、そのうち話し始めるよ」という準備を進めているのです。

楽しく言葉と出会える環境を

この時期に大切なのは、焦らせることではなく、言葉に触れる“心地よい体験”を重ねること。
絵本は楽しみながらそのきっかけとなるかもしれません。

音やリズムを楽しむ
まねっこしたくなる言葉がたくさん出てくる
スキンシップと声かけで、安心してことばに触れられる

絵本の力を借りて、親子で楽しく“ことばの世界”を広げていきましょう。 

 

発語を促すために大切なこととは?

言葉を口に出すためには、聞く・理解する・まねする・発音するといういくつものステップが必要で、1歳前後の子どもにとって、「話す」ことは大人が思っている以上に大きなステップアップです。
ここでは、発語を促すために押さえておきたい基本的な考え方をお伝えします。

発語=言葉の準備が整ったサイン

子どもが初めて「ママ」「ブーブー」などの言葉を口にするとき、それは偶然ではなく、聞いた言葉をたくさん蓄積し、心も身体も“話す準備が整った”というサインです。

だからこそ、無理に言わせようとするよりも、
たくさんの言葉を聞かせてあげる、
繰り返し声かけをしてあげる、
子どもの反応に丁寧に返してあげる、という積み重ねがとても大切になります。

親の語りかけと反応が言葉を育てる

発語を促す一番の原動力は、身近な人とのやりとり=コミュニケーションです。
特に絵本の時間は、親の声・表情・スキンシップがそろった最高の環境。

指差しに反応して「りんごだね、赤いね」と言ってあげる
「ワンワンいたね!」「ブーブー行っちゃったね」と気持ちに寄り添う
子どもが声を出したら、しっかり聞いて返してあげる

大切なのは、話させるより、気持ちをキャッチしてあげること。それが言葉の土台を育てます。

遊び感覚で“ことばのやりとり”を楽しもう

1歳の子は、「教えられる」より「一緒に遊ぶ」中で学ぶのが得意です。
絵本も「読む」だけでなく、まねっこしたり、声を出したり、動きながら楽しむことで、発語につながる刺激になります。

たとえば… 「ばいばーい」と言いながら手を振る
「にゃー!」と鳴き声をまねる
「ぽんっ」と音を立てて体を叩いてみる
この時期の赤ちゃんには言葉は“使う”ものではなく、“遊ぶ”もの。
だからこそ、楽しみながら関わる時間が、発語への一番の近道になるのです。

発語を促す絵本の特徴とは?

1歳児の発語をサポートする絵本は、内容や構成にいくつかの共通点があります。
ここでは、言葉の発達を後押ししてくれる絵本の選び方のポイントを解説します。

擬音語・繰り返しの多い絵本

「わんわん」「ぶーぶー」「ぱたぱた」などの擬音語は、音が面白く、マネしやすいため発語につながりやすい特徴があります。
また、繰り返しのフレーズは言葉の記憶を助け、自然に口をついて出てくるきっかけになります。

おすすめ例:
 「じゃあじゃあびりびり」 「ぴょーん」 「がたんごとん がたんごとん」

 

同じ言葉が何度も出てくる構成は、“まねしたい”気持ちを刺激してくれます。

イラストが大きく、内容がシンプルなもの

1歳前後は、まだ物語を理解するというよりも、目で見て、音を聞いて、反応する段階です。
そのため、 絵がはっきりしている、
ページあたりの情報が少ない 一文が短くてリズム感がある、といった絵本のほうが適しています。
読んだ言葉と絵がリンクしやすいので、“ことば=もの”の理解が深まります。

読む側が声や動きをつけやすい絵本

読み聞かせは、ただ読むだけではなく、親の声や動きが加わることで、ことばがより立体的になります。

「とんとん」「ぴょん!」など身体を動かせる内容
動物や乗り物の鳴き声・音がたくさん出てくる
読むたびに違う抑揚で楽しめるシンプルな構成

声色を変えたり、動きをまねたりすることで、子どもは楽しみながら“音と言葉”に親しんでいきます。

発語を促す絵本は、子どもが“まねしたくなる・声を出したくなる”工夫がたくさん詰まっています。
選ぶときは、「音」「リズム」「親子のやりとりが生まれる内容か」を意識してみましょう!

【1歳向け】発語を促すおすすめ絵本9選

ここでは、1歳の発語を促してくれる絵本を、内容の特徴・読み方の工夫とともにご紹介します。
「言葉を覚える」よりも、「声を出すのって楽しい!」と感じられる絵本を選ぶことがポイントです。

1. じゃあじゃあびりびり(まついのりこ/偕成社)

擬音語たっぷり&リズミカルな構成
日常生活の音(車・水・紙など)がシンプルな絵とともに登場 厚紙仕様でめくりやすく、0〜1歳に大人気

発語ポイント:
 「ぶーぶー」「がちゃがちゃ」など、子どもがまねしたくなる音が満載です

2. がたんごとん がたんごとん(安西水丸/福音館書店)

黒い列車が次々に乗客を乗せて走る、繰り返し構成の名作
言葉のリズムが気持ちよく、時間を忘れて集中してくれます

発語ポイント
 「がたんごとん」を一緒に言いながら読むと、読み聞かせている大人の真似としてつられて発語しやすくなります

3. ぴょーん(まつおかたつひで/ポプラ社)

動物たちがページをめくるごとに「ぴょーん!」とジャンプ
動きと声が連動する、楽しい絵本
読むたびに大ウケする一冊!

発語ポイント: 
 ジャンプに合わせて「ぴょーん!」と声を出す→動く→まねるが連動します。読むだけでなく、体も動かせて楽しい1冊となります。

4. いないいないばあ(松谷みよ子/童心社)

誰もが知っているベストセラー
繰り返しの「いないいない…ばあ!」が定番の楽しさ
赤ちゃんも大好きな表情絵が魅力

発語ポイント:
 最初の一言にピッタリ!“ばあ!”は発音しやすく、反応も大きい。

5. もこもこもこ(谷川俊太郎/文研出版)

鮮やかな色使いで見ているだけでも楽しい一冊
語感の良い繰り返し表現が多く、読み進めていくうちに自然と“音”を記憶し、発語を助けます

発語ポイント:
 「にょき」「もこもこ」「しーん」など、音遊びにぴったりの言葉がいっぱいです。

6. くだもの(平山和子/福音館書店)

写実的なフルーツの絵が美しく、「どうぞ」と声かけしながら読む構成
やさしい語りかけと生活に近いテーマで安心感あり

発語ポイント:
 「りんご」「ばなな」など、発音しやすく離乳食初期からおなじみの食材が登場することで、興味と語彙の習得をサポート。

7. こちょこちょ ももんちゃん(とよたかずひこ/童心社)

「とっとことっとこ」小さな桃のあかちゃんが歩くリズムとくすぐり遊びが楽しい絵本
繰り返し展開が多く、徐々に効いている赤ちゃんのボルテージも上がっていきます。

発語ポイント: くすぐりくすぐられ「こちょこちょ」「もっと」などの声が自然に出てきます

8. だるまさんが(かがくいひろし/ブロンズ新社)

「だ・る・ま・さ・ん・が…どてっ!」などのリズムが面白い
絵と動きに合わせて読むと、大人も子どもも笑顔に

発語ポイント: 
 音と動きがリンクしていて、覚えやすくまねしやすい。

9.ととけっこう よがあけた(こばやしえみこ/こぐま社)

日本のわらべうたをベースにした絵本
声に出すと自然に歌になり、リズムで親しめる

発語ポイント:
 音遊び・リズム遊びとして言葉を引き出す導入に最適。

 

どの絵本も、「話せるようになるため」ではなく、“声に出す楽しさ”を知るきっかけになります。
お子さんの興味や反応に合わせて、まずは1冊から取り入れてみてくださいね。

親子で楽しむための読み聞かせのコツ

発語を促す絵本を使うとき、大切なのは「正しく読むこと」よりも親子で楽しむこと。 言葉のやりとりを自然に引き出すために、以下のようなポイントを意識してみましょう。

一方通行ではなく“反応を引き出す”読み方

絵本は“読んであげる”だけでなく、子どもが参加できる読み方を心がけることで、発語につながるきっかけが増えます。
絵を指さして「これはなにかな?」と聞いてみる
子どもが声を出したら、「そうだね!○○だね」と返す
同じフレーズを読んだあとに「一緒に言ってみようか?」と誘う

声が出るタイミングは個人差がありますが、リアクションが返ってくると子どもも嬉しくなり、また声を出したくなります。

スキンシップや表情・声色を意識する

1歳の子は、感情や言葉を「音」だけでなく「顔や動き」からも受け取っています。
親が表情豊かに読んだり、くすぐり遊びやハグを交えたりすると、絵本がもっと楽しくなります。

擬音語のときは体を使って大げさに表現 「にゃー!」と言いながら猫の手をする
「ばあ!」と顔を出して驚かせる
言葉と動きが結びつくことで、記憶にも残りやすくなります。

繰り返し読むことが発語への近道になる

同じ絵本を何度も読んでいると、「またこれ?」と思うかもしれませんが、繰り返しこそが子どもにとっての安心と学びです。

繰り返すうちに言葉のタイミングを覚える
先の展開を予想して声を出してくれることも
安心感から“まねっこ”や“反応”が自然に生まれる

「何度も読む」は、発語を促す絵本の最大の強みです。
ぜひ遠慮なく、たっぷり繰り返してあげてください。

発語はトレーニング”はなく“しい経験の積み重ね”
絵本の時間を通じて、親子で笑い合いながら、自然に言葉の芽を育てていきましょう。

まとめ|言葉は“遊び”の中から育つ

1歳という年齢は、言葉が「出る」「出ない」に一喜一憂しがちな時期ですが、大切なのは、言葉と楽しく出会い、関わっていく“過程”そのものです。

絵本は、言葉の世界へのやさしい入り口

聞く・まねる・笑う・反応する――そのすべてが発語へのステップ
生活に近い言葉や音を、親の声で楽しめる安心な時間
「言葉は楽しい」と感じられる体験が、自然な発語を引き出してくれます

 発語のスピードには個人差があるからこそ、焦らず、楽しく

言葉の出方は本当に子どもそれぞれ。
「まだ話せない」ではなく、「話す準備をしている最中」と捉えて、焦らず・責めず・比べずに寄り添うことが、なにより大切です。

まずは気になる絵本を1冊選んで、笑ったり、声を出したり、一緒にめくったりしてみてください。
その体験が、きっと子どもにとっての「言葉の種」になります。
親子で一緒に楽しみながら、子どもの発語の芽をあたたかく育てていきましょう。